西日の町
- 作者: 湯本香樹実
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/09/12
- メディア: 単行本
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このお話の舞台は、なんだかとても昔みたいです。貧しかった子供のころの自分。大人になった「僕」の話が物語の中にたびたび出てくるのですが、その過去と現在のいったりきたりが、時代の移ろいを感じさせました。
お母さんの、突然現れた「父親」に対する態度、なんだかわかるなぁと思ってしまいました。やさしかったり、残酷だったり、あぁ、家族ってそういうものだ、と。子供のころはお父さんが大好きで、お父さんにとっても自慢の娘で、でも、もう今は大きくなってしまって、いつまでも昔のままではいられない。何かが少しずつ変わっていく。憎んだこともきっとあって、それでもやっぱり家族で。そんなことが、ぶわーっと伝わってきて、なんだか切なかったです。
いままでに読んできた湯本さんの本とはちょっと感じが違いました。苦手な感じすらしてしまい、大好きな作家さんなのに悲しいなぁと思ってよく見たら「芥川賞候補作」と。…やっぱり!(どうしても苦手みたいです。芥川賞。どうしてだろう!)苦手だったけど、でも、自分が親になってから、もう一度読んでみたいと思いました。