もういないあなた

もういないあなた

もういないあなた

一冊でひとつのお話かと思って読み始めたら、短編集でした。文庫本と違って、単行本は裏に説明書きがないので、わたしこういうことがよくあります。帯でもついていれば書いてあるのかもしれませんが、図書館で借りる本に帯は付いていないので…。

短編集なのですが、「写真」が全編のテーマになっています。ということにも五編目を読んでいて気づきました。六編しか入っていないのに。危ないところでした。

堀田あけみさんの小説はずっと好きで読んでいるのですが、ご自分の環境が小説に大いに反映される方らしく、ご結婚されてお子さんもお生まれになった後のこの短編集は、どれも「結婚」とか「妊娠」とか「家族」とかそういうテーマが根底に流れています。基本的なテーマは「写真」ですが、短編の内容はさまざまです。読み終わって少し怖くなるようなものがあったり、心温まるような感じがあったり。個人的には「あなたをずっと」という最後に収められている作品が一番好きです。私も、こういうふうになりたいな…。