クレヨン王国超特急24色ゆめ列車

クレヨン王国 超特急24色ゆめ列車 (講談社青い鳥文庫)

クレヨン王国 超特急24色ゆめ列車 (講談社青い鳥文庫)

クレヨン王国の作者さん「フクナガ」さんがこのお話の主人公です。350匹のおたまじゃくしを育てているフクナガさん。キジバトのブースケとも仲良しです。金魚のA金先生にいろんなことを教わりながら、おたまじゃくしたちはどんどん大きくなります。彼らを田に放すときがやってきましたが、日照りつづきで田んぼの水がどんどん干上がってしまいます。このままではおたまじゃくしたちの命があぶない!そんなフクナガさんの目の前に24色クレヨンで描かれた「ゆめ列車」がやってきます。それは太平洋戦争中、フクナガさんがまだ子供だったころ、友達の林少年が書いた列車でした。ブースケとA金先生とともに列車に乗り込んだフクナガさんを待ち受けていたのは…。

読み終わって、とてもやさしい気持ちになれる一冊です。主人公がフクナガさんというのもなかなか…。ブースケやA金先生と自由にお話ができるのもとてもうらやましい。さすがはクレヨン王国の作者さんです!

もっとも、ただ楽しいばかりではありません。戦争中の悲しい体験も、つらかったことも、苦しかったことも、ここには書かれています。生きたくても生きられなかった友達たち。忘れられない、忘れてはいけないことですよね。

それにこの本を読んでいると、自分がいかに「自然」というものを普段忘れてすごしているかということに気づかされます。ちょっと目を向けてみれば、そこにはいつも彼らがいてくれるのに…。明日からは、ちょっとゆっくり歩いてみたいと思います。