麦ふみクーツェ

麦ふみクーツェ

麦ふみクーツェ

舞台は、どこかある島の港町。「ぼく」は「父さん」と「おじいちゃん」とそこに暮らしています。(この物語、固有名詞はひとつも出てこないのです。)主人公はみんなに「ねこ」と呼ばれています。とても背が高く身体が大きい彼は、世界からはじかれてしまったような思いをいつも感じています。
ある日「ねこ」は不思議な音を聞きます。
「とん たたん とん」
「とん たたん とん」

ほんのちょっと世界からはみ出している彼を取り巻く世界も、ほんのちょっと変わっています。そしてその世界でもやっぱり、さまざまなことが起こります。うれしいことも、悲しいことも、楽しいことも、つらいことも。ねずみが空から降って来たり、人が死んだり、騙す人がいたり、騙される人がいたり。不幸なアクシデントもたくさんおこります。ただ、楽しいばかりの物語ではありません。

でもこの物語の涙が出るくらいステキなところは、そんな彼らや世界をつないでいるのが「音楽」だというところです。

「合奏は楽しい」ということ。
音楽を聴くよろこびと、楽器を演奏するよろこび。
伝えたい気持ち。

「音を楽しむ」と書いて音楽。演奏するものも常に楽しんでこそ、音楽なんだなと、そう思っていたころのことを思い出しました。また演奏がしたくなりました。

最高にお勧めです!