永遠の途中

永遠の途中

永遠の途中

伊田薫、篠田乃梨子。二人の女性が主人公です。
27歳の彼女たちからこの物語ははじまります。まったく違った生き方を選んだ二人。
そして、30歳、33歳、39歳、42歳、47歳、52歳、60歳。
二人が人生を生きていくなかで、その歳その歳で思う考えや、立場や、彼女たちをめぐる環境が、それぞれの言葉で語られていきます。

27歳とか33歳くらいの間だけとか、42歳あたり(中年と呼ばれるあたり?)だけとか、そういうお話ならたくさんありそうですが、そうでなく、一人の人物のこれだけの長い期間がひとつのお話になっているというのはめずらしいのではないかなと思いました。
というかびっくりしました。読み始めたときは27歳だったのが、終わるときは60歳なんですから。

27歳というのが現時点での自分に一番年が近いのですが、このときの二人の考えていることや、不安や、悩みが、なにからなにまであまりにも自分と重なるというか、リアルでなまなましくて、ということは、30歳とか50歳とか、そうなったときに自分が思うこともこういうことなのかしらと思うと、なんだかちょっと心配になってしまいました。
こういうことで悩む、とか、こういうことで不安になる、とか、あらかじめわかっているなんて。うーん。ちょっとげんなりです(笑)

「どうしてもっと自分の生き方に自信を持ってこなかったのだろう」

60歳になった乃梨子のセリフです。
もし、あのときああしていたら、こうしていなかったら。
そんなことを考えて、選ばなかった自分のもうひとつの人生を勝手に想像して、それに嫉妬してしまう。生きていないほうの人生に負けたような気になってしまう。
そんなものどこにもないのに、どうしてそんなふうに生きてきてしまったんだろう、と。
そう語る60歳の乃梨子のセリフを聞いて、2●歳の自分はこれからをどう生きるのか。
せっかくここでこんな話を聞いたのですから、60歳になったときに同じセリフは言わないような生き方をしたいと思いました。

このタイトルも、読み終わってもう一度考えてみるとスバラシイ!です。