駅までの道をおしえて
- 作者: 伊集院静
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/10/25
- メディア: 単行本
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短編集です。
一つ目のお話が、本のタイトルにもなっている「駅までの道をおしえて」です。通勤途中の電車の中で何気なく読み始めたのですが、途中で「やばい」と思いました。
きっと誰もが体験したことのある、大切な人を失くしたあの気持ち。
嘘だよね?ほんとはまだそこにいるんでしょう?私をおいて、いなくなったりなんか、しないよね?
何度も何度もそう繰り返す、あの気持ち。祈りにも似たそんな気持ちが、思いが、切なさが、とても伝わってきて、涙をこらえることができませんでした。
でも、悲しいだけのお話ではありません。最後にこぼれるのは、涙だけではなく笑顔、です。涙をいっぱいためた目で、でも前を向いて歩いていくことができる、そんな強さを、そんな想いを感じられる、素敵なお話でした。
うまくいえませんが「思い」というよりは「想い」、「悲しい」のではなくて「哀しい」、そういう気持ちが伝わる本でした。
そして読んでいる途中で、何度も表紙の絵を見直すこと請け合いです。(ちなみに、裏表紙も必見なのです。ここでお見せできないのが残念です。)
表題作のこのお話以外にも、たくさんのステキなお話が詰まった本です。(全編、ちょっとずつ「野球」が関係したお話たちです。)「ぼくのボールが君にとどけば」という本の続刊にあたるそうなので、そっちもこれから読んでみるつもりです。
こういう本に出会えたりするから、読書が好きでよかったなと思いました。