駅までの道をおしえて

駅までの道をおしえて

駅までの道をおしえて

本の表紙の絵にひかれて読み始めました。
短編集です。

一つ目のお話が、本のタイトルにもなっている「駅までの道をおしえて」です。通勤途中の電車の中で何気なく読み始めたのですが、途中で「やばい」と思いました。

きっと誰もが体験したことのある、大切な人を失くしたあの気持ち。

嘘だよね?ほんとはまだそこにいるんでしょう?私をおいて、いなくなったりなんか、しないよね?

何度も何度もそう繰り返す、あの気持ち。祈りにも似たそんな気持ちが、思いが、切なさが、とても伝わってきて、涙をこらえることができませんでした。

でも、悲しいだけのお話ではありません。最後にこぼれるのは、涙だけではなく笑顔、です。涙をいっぱいためた目で、でも前を向いて歩いていくことができる、そんな強さを、そんな想いを感じられる、素敵なお話でした。
うまくいえませんが「思い」というよりは「想い」、「悲しい」のではなくて「哀しい」、そういう気持ちが伝わる本でした。
そして読んでいる途中で、何度も表紙の絵を見直すこと請け合いです。(ちなみに、裏表紙も必見なのです。ここでお見せできないのが残念です。)

表題作のこのお話以外にも、たくさんのステキなお話が詰まった本です。(全編、ちょっとずつ「野球」が関係したお話たちです。)「ぼくのボールが君にとどけば」という本の続刊にあたるそうなので、そっちもこれから読んでみるつもりです。

こういう本に出会えたりするから、読書が好きでよかったなと思いました。