かなしみの場所

かなしみの場所

かなしみの場所

離婚して、アクセサリーや雑貨を作りながら淡々と日々をおくる果那と、彼女をとりまく人々の物語です。

特にドラマチックな出来事が起こるわけでもなく、本当に静かな物語でした。強いて言えば「子供のころ誘拐された」お話がドラマチックなのかもしれませんが、真相はともあれ、それもなんだか心温まるエピソードといえないこともなく…。

主人公の果那が、ちょっと甘えすぎなんじゃないの?!と思う感もなきにしもあらずでしたが、それもまたよしということで。(だって大騒ぎして結婚したわりに結局すぐ離婚して、でもそこで修羅場もなく、どろどろすることもなく、実家に戻って、好きなことやって暮らして、それがうまいこと仕事にもなって、周りの人間にもめぐまれてて…。うらやましいくらいのものではないですか!)そんなわけで、帯にあったように「生きていくことのいとおしさが胸にこみあげる」ほどのことはなかった私ですが、でもこの透明な感じ、きらいじゃないです。

タイトルは「かなしみの場所」ですが、「悲し」くはないです。この「かなしみ」は確かにひらがなの「かなしみ」の感じだなぁと、そう思いました。