アヒルと鴨のコインロッカー
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2003/11/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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引っ越したばかりのアパートの隣人、河崎の口車にのせられ、書店強盗につきあうはめになった大学生、椎名。気が付けば河崎に言われたとおりに、書店の裏口にモデルガンを持って立っている自分。そしてそんなことまでして河崎が盗もうとしているのは「広辞苑」一冊だという。彼の真意はいったい…?
交互に描かれる「現在」と「ニ年前」の物語。最初は「ずいぶん陽気な明るい感じだなぁ〜。」なんてのんきに思いながら読んでいたのですが、刻々と進んでいく現在とニ年前の「時」に、タイムリミットが近づいているような焦燥感を味わいながら、途中で読み止めることができず、一気に読みました。そして泣きました。今思い出しても、思い出し泣きしそうです。
あのエピソードも、あのセリフも、あのしぐさも、あぁ、そうだったんだ!と最後に思わせる。それを思い返すだけで、涙が出る。なんと言っていいのかわかりません。切ない、というのとはまたちょっと違う…、でも涙、涙です。この人の書く物語は、もう「ミステリー」とかそういうくくりをしなくていいのだと思います。そういうことを考えないで、ただ、そのまま読んでほしいと思います。ほんとに、もう、みごと、でした。