ゲームの名は誘拐

ゲームの名は誘拐

ゲームの名は誘拐

自分が企画したプロジェクトをクライアントに白紙撤回された佐久間。計画は一からやり直し、担当者も変更。そんな決定を下した取引先の副社長、葛城に直談判してやろうと、その自宅を訪れた佐久間は、何者かが屋敷の中から塀を乗り越えて出てくる姿を目撃します。後をつけた佐久間は、その少女が葛城の娘、樹理であるということを知り、彼女と共謀して、葛城にあるゲームを仕掛けることを思いつきます。「誘拐事件」という名のゲームを…。

狂言誘拐を仕掛けて、相手から身代金を奪う。奪えれば自分の勝ち、失敗したら負け。裏の裏をかいて、綿密に練られる犯行計画。佐久間はこのゲームに勝つことができるのか?なるほど、タイトルどおりだな…と思いながら読んでいたのですが、いやぁ、見事に騙されました。騙されたというか、やられたというか。やっぱりうまいなぁ、この人。わかったつもりで読んでいたのに、さらにもう一段上をいっているというか。(私のレベルが低いだけですか?!)なにかきっとあるとは思っていましたが、こうだったとは!このラストはなかなか秀逸です。(ちょっと納得いかないような気がなきにしもあらず、ですが。)そしてこのゲームに、佐久間は勝ったのかな、負けたのかな。うーん。難しいです。

最初はこの「佐久間」さん、あんまり好きじゃなかったのですが、最後には好きになりました。「人生はゲームだ」なんてかっこつけたこと言ってないで…ね。勝ち負けなんてどうだっていいじゃないですか。それとも、男の人ってやっぱりこんな風に考えて生きてるのかなぁ…。つらそうだなぁ…。

そして、わたし的にこの小説の唯一の難点は「ヒロインが魅力的でない」ことでした。だってなんだかかわいくないんですもん…。