弘海 -息子が海に還る朝

弘海 -息子が海に還る朝

弘海 -息子が海に還る朝

こんなタイトルだし、なんと言っても市川さんだし、どうしよう、このまま弘海くんが魚になっちゃったとかいうオチだったら…そうじゃなかったら死んじゃったり…と心配しながら読んだのですが、大丈夫で安心しました(笑)。だってお父さんは「弘海へ」とかいって手紙書いてて、お母さんは悲しみの底にしずんで泣きながら息子の日記とか読み返したりしてて。これはもう「今生の別れ」くらいの勢いではないですか!やっぱり死んじゃのかしら?!と、どきどきしてしまいました。正直、最後のページをめくるまで心配でした。心配っていうか、疑ってました。すいません。

というか、これって、よくよく考えたら別にそんなに泣くようなことでもなんでもないような気がするのですが。あれ?さびしいはさびしいでしょうけど、そう悲しいことでもないですよねぇ。あれ?親心がわかっていないだけでしょうか?わたし。

しかし、泣くようなことでもないのに、しかも最初からオチがわかっているのに(私の場合は最悪のケースを想像しすぎましたが。)、それでも涙ぐませてしまう、そんなところが市川さんの筆のすごいところだと思いました。やられました。親が子を想う気持ち、十分堪能させていただきました。でも今までの市川さんの作品に比べたら、わたし的にはいまひとつ物足りなかったような。予定調和すぎ??(あとなんか、本の装幀も。ちょっと…。)

自分が親になったら、もう一度読んでみたいと思いました。