川の名前

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菊野脩、亀丸拓哉、河邑浩童は、小学五年生の仲良し三人組。自分たちの住む町を流れる川で不思議な生き物の残した跡を発見した彼らは、これを夏休みの自由研究の課題にしよう!と調査を開始します。こうして始まった彼らのひと夏の冒険と友情の物語、です。

うーん。すごくよかった!です。なんでこの本あんまり有名じゃないのかしら…(偏見?)と思ってしまうほど。川端さんの「夏のロケット」が好きな好きな方なら、間違いなくこれも大好きになると思います。私たちがなくしかけている、何か大事なものを思い出させてくれる、そんな物語。大人にも子供にも、たくさんの人に読んで欲しい本でした。

小学五年生の男の子たちが、ほんとうに生き生きと描かれていて、読みながら自分もどきどきしたり、怒ったり、不安になったり、いっしょに冒険していたような気持ちになりました。あのころ感じていた、いろんな気持ちを思い出しました。私も「カワガキ」だったのに、あんな自分をどこにおいてきちゃったのかな。いつの間に、こんなに遠くに来ちゃったのかな。

夏がまるまるお休みで、時間がたっぷりあって、毎日何をしようかわくわくしていた夏休み。今はもうあんな夏休みを手に入れることはできません。そう考えると子供のころのあの時間って、本当に大切な時間だったんだなぁ…としみじみ思いました。

ひとつ後悔しているのは、「夏に読めばよかったな。」ということ。惜しいことした…。だって夏休みの物語なんですもの。夏になったらもう一度読みたいです。そのときはもちろん自然の中で、陽射しのきらきらを感じて、蚊にくわれながら読むのです。はい!