そこへ届くのは僕たちの声

そこへ届くのは僕たちの声

そこへ届くのは僕たちの声

植物人間を覚醒させる能力をもつ人がいるという噂と、各地で起きる奇妙な誘拐事件。一見無関係に見えた二つの出来事を結んだのは「ハヤブサ」というキーワード。「ハヤブサ」とはいったい何なのか?そして「そらみみ」ならぬ「そらこえ」が聞こえる女の子。その「声」の正体は?不思議な能力をもった子どもたちが、その能力を駆使して命を賭けて危機に立ち向かう…そんな物語です。

読み始めた最初のうちは、なんだか全体がつかめなくて、登場人物たちの微妙な関係を追うことで頭がいっぱいになってしまったのですが、飲み込めてからは物語の中に没頭してしまいました。偶然、だけれども必然。どんどんつながっていく物語に、ぐいぐい引き込まれます。「空を見上げる古い歌を口ずさむ」や「高く遠く空へ歌ううた」よりも、私はこの物語の方が好きです。というか、かなりヒット…。泣きました。(前二作ではとくに何もなかったのですけれどね…。)子どもががんばる物語っていうのにはやはり心揺さぶられます。

「空を〜」や「高く〜」と同じパターンの物語だなということは思いました。でも、その上で読んで私は泣かされたし、思うこともあったし、読んでよかったなと思います。(というか最後がよかったのでもう途中のことは全てオッケー!になってしまいました。単純。)

「誰かを助けたい」というその思い。彼らを突き動かすのは、ただその思いだけです。打算も駆け引きもない、純粋な思い。私はこんなステキ子どもではなかったかもしれないけれど、こんなステキな大人にはなれるよう努力したい、そう思いました。