サンタクロースのせいにしよう

どうも最近悪いことが重なる…アパートにもガタが来ているし、この際引越しでもしようと考えていた柊子。そんなところに、友人の彦坂夏見から「友だちが同居人を探してる」と電話があります。友人の友人というだけでよく知りもしない相手との同居を決めた柊子を、その家で待ちうけていたものは…。ちょっと風変わりな同居人、銀子さんとの共同生活を軸に、柊子が経験する様々な出来事を、オムニバス形式で綴ったミステリィ短編集です。

なによりも登場人物たちのキャラがユニーク!みな愛すべき人たちです。「ミステリィ」と言っても日常のちょっとした謎解きくらいな「ご近所ミステリィ」です。えー?これはちょっとこじつけかも?と思ってしまうくらい…。私自身、まったくミステリィを意識しないで読みました。しかし、ミステリィでなくても、彼女たちの「日常ドタバタ生活記」としてだけでも十分おもしろいお話たちでした。

ものすごくうまいなぁと思ったのは、こういう連作の短編にかならず出てくる「状況設定の説明」。またその説明?とうんざりしてしまうような本も過去に読んだとがあるのですが、この本ではそれをまったく感じさせませんでした。毎回すごーくうまく、まったくわざとらしくなく、その説明がされているのです。すばらしい!

ところでこの柊子に銀子さんを紹介した友人「彦坂夏見」は…。もしかして「スクランブル」に出てきた夏見ですか?!おぉ。