グラスホッパー

グラスホッパー

グラスホッパー

妻を殺された復讐をするため「非合法的」な会社に契約社員として入社した「鈴木」。相手を殺すのではなく自殺させる、自殺屋「鯨」。上司にこきつかわれ、不満たらたらの殺し屋「蝉」。そして交通事故に見せかけて人を殺す「押し屋」。まったく関係ないはずだった彼らの思惑が交錯したとき…。

正直、読み始めたときは、あれよあれよという感じですごい描写(!)が次から次へと展開されるのに翻弄され、読むのが苦しかったです。えー、なんかいつもの伊坂さんと違う…と思ったりもしてしまいました。でもやっぱり先が気になって、一気読み。そして最後が…えーと、よくわからなかったんですけど…。そこのところだけ、何度も読み返してみました。でもわかんない…。これ、ハッピーエンド…のような、そうじゃないような…。
途中で出てくる登場人物たちの会話は、やっぱり軽妙でおもしろかったですし、魅力的なキャラクターたちだし(健太郎くんと孝次郎くんかわいいし…)、ぐいぐいひっぱられるストーリー展開もさすがです。「やるしかないじゃない。君の言うとおり。」ってところには毎回きゅんとしたりもしました。それでも全体に漂うこのやるせなさというか…暗さというか…。現実と虚構、この境界線がどんどんわからなくなってくる怖さというか。そういうものをひしひしと感じてしまって、読み終わってもその感じが抜けなくて、どよーんとしてしまいました。

いや、読んで損はないです。オススメです。オススメですが…最初の伊坂さん作品としては読まないほうがいいかな!と。

そしてタイトルになっている「グラスホッパー」。これがバッタだということは知っていたので、どうしてこんなタイトル?と思っていたのですが、読み終えたら意味がわかりました。そっかぁ…。

参考:グラスホッパー公式ホームページ