格闘する者に○

格闘する者に○

格闘する者に○

主人公、藤崎可南子は就職活動中の女子大生。「学生の間にがんばったことはマンガを読むこと」という彼女の希望先は出版社。それもあんまり熱心なほうではなく、なんとなーく、だらだーらと活動する日々。そんな彼女の悩みのネタは就職活動のみならず、家族のことでもあったりし…。

実は私はいわゆる「リクルートスーツを着た」就職活動をちゃんとしたことがほとんどないのですが、それでもこの可南子の物語には「うん、うん!」とうなずけること満載で、あまりのおもしろさに、ほんとうにあっという間に読み終わりました。

暴走しまくりの可南子の妄想に笑い、西園寺さんとの恋模様に泣き、とにかく彼女には翻弄されまくりです。読み始めたときは「なんだ!この女は!」と思っていたのですが、読み進めていくうちに、うっかりそんな彼女のとりこになってしまいました(笑)。彼女の周りの人々も、みんなどこか憎めなくて、なかなか。

三浦しをんさんの作品は「私が語り始めた彼は」しか読んだことがなかったので、これとのあまりのギャップにたまげました…!なんというか、これはそれこそ「マンガ」みたいな小説です。しかし、いろんなものの書ける作家さんなんだなぁと感心。(ちなみにこっちがデビュー作だそうです。)

そしてこのタイトル。「何?このヘンなタイトルは??」というモヤモヤは、読めばすっきり、拍手喝采です!うまいなぁ〜。