楽隊のうさぎ

楽隊のうさぎ

楽隊のうさぎ

中学生になったばかりの克久が、入部したのは吹奏楽部。担当パートはパーカッション。引っ込み思案で、心に「左官屋」を住み着かせ、いつも心を塗り固めていた克久が、吹奏楽部で成長していく姿を描く…?

うーん、なんというか、私にはダメでした。すいません。吹奏楽部のお話だっていうから、もと吹奏楽部員だった自分としてはぜひ読まねば!と、勢い込んで読んでみたのですが、なんか…ちょっと期待はずれ。「てにをは」にあれ?っと思ったり、誰人称で話が進んでいるのかがさっぱりわからなかったり、読みにくかったというのもあるのかもしれませんが、そういう技術云々の話だけじゃなくて、全体的に…うーん、何というか。(自分の理解力を棚に上げてます。えらそうにスイマセン。)

確かに「吹奏楽部」というものについてはよく知っているのだろうなという書き方です。部活の体制とか、コンクールの仕組みとか、練習の仕方とか。でも、それはあくまでも外側から見た姿であって、その内側にいる中学生たちの姿を描ききれているかといったら、かなり物足りないなと思ってしまったのでした。テーマはいいのに、中途半端なのです。実際に今現役でがんばってる子たちがこれ読んだら、怒るんじゃないかな?くらい。

コンクールとか、練習とか、こんなんじゃなかった。私たちが感じていたのは、こんなことじゃなかった。もっと、必死だったし、一生懸命だったし、真剣だった。勝ち負けとかじゃんくて、音楽というものについて。吹奏楽にほんとうにほんとうに「青春」をかけていた私としては、ちょっと、かなり納得がいかなかったのでした。こんなに甘くない!間違いなく!!(全国大会の常連でこれ?ますますありえない!)

だって、私は今でも忘れていないのです、あの熱さを…!

と、思わず熱く語ってしまいましたが、(思い入れがあるのでつい…。)、まぁ、この小説では「中学生の心の成長」みたいのを描くための一つのツールとして吹奏楽部を使っただけで、あくまでもそれを通じて彼の姿を描きたかっただけで、別に熱い青春吹奏楽小説を書きたかったわけではないのかなぁと。そういう意味ではよく書けていると思いますし(またえらそう?)、子供というよりはむしろ親が読むといい小説なのかもしれないなぁと思いました。

そして、そう言いつつも、この続編の「うさぎとトランペット」をこれから読むのですが。だってトランペットだったし!私!